2017年07月
2017年07月01日
宮津市にある近代化遺産の浄水場・滝上浄水場

先日、メインで運営している「まちかどの西洋館別館・古写真・古絵葉書展示室」にて使用する宮津町浄水場という昭和初期頃の古絵葉書資料を入手し、この浄水場の場所や情報を調べていますと、絵葉書に写る浄水場施設が現存していることを知り、絵葉書と現在の様子を比較するため探索に向かいました。
※古絵葉書の記事はこちら。 「古絵葉書・宮津町浄水場(現・宮津市滝上浄水場)」
今回訪問した滝上浄水場は、宮津市の西側の山中にあり、浄水場の麓には滝上公園があります。

滝上浄水場に入り最初に目にするのがろ過池の施設。

古絵葉書にあるろ過池です。現地で見比べましたら、90年前とほぼ同じ姿。

ろ過池の入り口にある説明版。滝上浄水場は一地方都市としては珍しく明治45年完成という上水施設としては最初期と言えるもの。しかも、戦前の施設がそのまま残されており、地方の戦前の上水設備を知る貴重な近代化遺産となっています。

ろ過池の隣にある半地下の施設。見るからに古そう。

反対側になってますが、絵葉書にも写されており、戦前の施設であることが分かります。
奥に写っている建物は現存していません。

半地下の施設の上部には空気抜きのようなものが並んでいます。これも当時のままなのでしょうか。

ろ過池の隅にある取水用の桝のようなもの。

こちらも絵葉書に写されており、見る限り当時のままのようです。

ろ過池のフェンスの外には先の取水桝に繋がっていると思われる取水口らしきものがあります。
雰囲気的に戦前当時のままでしょう。

ろ過池へ取水していた川には当時の橋もあり、かつては公園になっていたようです。
ただし現在は公園として管理されず放置されています。

ろ過池から林道を登っていくと貯水池の堰堤があります。

この貯水池堰堤は古絵葉書にもあるものですが、現在の姿はだいぶ変わっています。
後で出会った管理の人の話を聞くと、補強のため戦後に石張りだった堰堤をコンクリートで覆ったとのこと。コンクリートの外壁の中には石張りの当時の外壁が眠っているようです。

堰堤の脇には通水路があります。こちらは石張りが見えるため当時のままの姿のようです。
堰堤の周りはフェンスが張られ立ち入りできなかったので、再び林道に戻り登っていくと、川側の斜面に降りていく古い道が。その旧道を辿り降りていくと。

貯水池へと続くであろうかつての管理道と通水路にたどり着きました。
貯水池方面は立ち入りできなかったのでそちらへは向かわず山側へ向かう方向へ。

すると、アーチを持つ石張りの堰堤にたどり着きました。

この堰堤は古絵葉書にもある取水口堰堤。真ん中のアーチが取水口になります。

取水口のアップ。現在も水門があります。
堰堤の下は岩盤を削ったと思われる川になっています。滝上浄水場は常願寺川をそのまま利用して取水していたと説明にあり、恐らく元々あった常願寺川を堰堤でせき止め貯水池を作り、また川を掘削し拡張したのかもしれません。

取水口堰堤の上部。石張りの堰堤は絵葉書が撮影された90年前の昭和初期当時のままの姿のようです。
下流側にある貯水池堰堤もかつてはこのような姿だったのでしょう。ただ、あちらは規模が大きくそのままでは強度に不安があるため、貯水池堰堤だけコンクリートで覆う補強をしたのでしょう。
取水口堰堤は現在、堰堤の左半分が土砂に埋もれてしまっています。

取水口堰堤の左端にある桝。その下には通水路があり、絵葉書にも写っているため当時のままのようです。

取水口堰堤の上には小さいながらも滝があり、滝の水も堰堤の下を流れる水も綺麗でこの滝上浄水場の水はきっと美味しいのでしょう。
滝上浄水場は絵葉書が撮影された90年前の昭和初期に比べて木々が生い茂り深い森となってます。
かつては散策できたであろう道は所々雑木等に埋もれ見通しも効かなくなり絵葉書と同じアングルでの撮影は不可能になっていました。
さらに、取水口堰堤は半分が土砂に埋もれるなど90年の歳月を感じる状態でした。
しかし、戦前の上水施設がそのまま残されている貴重な近代化遺産を目にすることができ、また、昭和初期の絵葉書に写る堰堤や、ろ過池の変わらない姿を現地で見比べることができる等、まるで90年の歳月を超えたかのような気分を味わうことができる訪問となりました。