2006年06月19日

多摩川の復活

昨日放送していたNHKアーカイブス・環境アーカイブスで、多摩川の汚染に取り組む番組をやっていました。1970年の放送です。

番組内容は、1960年代から工場廃水・生活廃水などの垂れ流しで、
汚れに汚れた多摩川の水を浄水する上水道局員の奮闘振りを紹介する
1970年放送のNHKスペシャルでした。
この方は、微生物による汚水の浄化方法を確立した方なのですが、
それ以上に衝撃なのが、ドス黒い排水をそのまま川に垂れ流している映像や、
川が白い泡で一面覆われている映像など、おおよそ川なんて呼べないそんな映像。
魚は汚染に比較的強いフナやコイすら死んで浮かぶ状態。ゴミがあふれ、本当にこんな時代があったのだろうかと驚くくらいの有様でした。
今じゃ絶対問題になる垂れ流しも、当時は当たり前だったんですね・・・。

川の水が垂れ流しで汚染され、川の生き物が死に絶え、まさに死の川となった多摩川。今も死の川であり続けているのか・・・。
いえ、多摩川は見事に復活しました。川の汚染度を表す数字BODが1970年当時9.5もあったのが今では1.2まで低下。あんなにドス黒かった川の水が今は澄み切った水になり、魚もコイ・フナだけでなく、こちらの方のサイトを御覧になると分りますが
今じゃこんなに多くの種類が。しかも、アユも遡上するようになり、何万匹も上がってくるそうです。
そして、かつては幻の鳥といわれたカワセミも復活。
美しい姿を見せてくれています。

これは多摩川だけの話じゃなく淀川なども環境が向上し、今じゃ淀川でシジミが採れ「大阪産」として出荷されていたり(しかも、味はかなりいいそうです)京都の鴨川も、街中なのにアユの友釣りするひとがいるくらいで、下水道整備の普及、環境保護への意識向上により、都市河川の状態はかなり良くなったと思われます。

そして、琵琶湖も去年の記事にありましたが、湖南でも水質自体は
葦などの植物や水草の増加で、水質や透明度が戦前レベルにまで
回復しているそうです。


大都市の河川の復活は非常に喜ばしいと思うのですが、逆に田舎の河川はどうだろうか。田舎の河川は、私の実家の近くの川もそうですが、特に支流で河川改修なんかで
逆に悪化しているように感じられます。もう少し見直していただきたいと切に願うのですが。

あとは、これが一番大きな問題の一つと思われますが、外来魚対策ですね。
せっかく水環境が改善されても、在来種を食い荒らす外来魚をなんとかしなければ
意味がありません。

besan2005 at 19:30│Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック (旧版)その他 

この記事へのコメント

1. Posted by きつね   2006年06月19日 23:23
3年程前でしょうか。東京都下水道局に仕事で行ったのですが、河川の水質は戻りつつありましたね。

汚染のひどかった川の水質調査結果などもパネルになっていましたが、神田川でもアユが戻ってきているとか。(記憶不鮮明です・・)

人が汚したものを、人が浄化する。当たり前のことかも知れない。元どおりにはならないかも知れない。それでも、やれることに地道に取り組んでいることを評価してあげたいですね。
2. Posted by Zacco   2006年06月19日 23:51
この番組、僕も見ました。
直前にマダラカゲロウのやつもやってましたね。
川底のデタトリスを食べ、成虫になって外に飛び立つカゲロウは、人間の出した汚れを川の外に運び出す役割もしているとか。

昔はこの川にも・・・は採集をしていると頻回に聞く言葉ですが、無責任さを感じる言葉でもあります。

水質が改善しているとすると、外来魚、水量などまだまだ問題はあるのでしょうが、きつねさん同様、今は(僅かかもしれませんが)一歩前進を喜びたいと思います。
3. Posted by べーさん   2006年06月20日 06:40
>>きつねさん
この活動は評価したいですね。
官民一体となって環境良くしようという活動。こういう活動が昨今はどんどん広まっています。できればもっと田舎の方にも。

>>Zaccoさん
そうです。この番組の前は阿武隈川の
やつでしたね。放送中にちょっと調べてみたら、阿武隈川のカゲロウのほうはまだ続いているようで、川がまだ本調子ではないということですね。
カゲロウが川の汚れを外に出す役割を
しているとは知りませんでしたが、
大発生の原因はまさに汚してきたことへの「ツケ」なんでしょうね。

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