2007年03月30日

ここ10年の骨董市の変化と私の変化

和ガラス・ウランガラスたち






私の趣味の一つである骨董収集と骨董市めぐりを始めてから、もう10年以上になります。先日も骨董市で明治〜大正の剣先グラスとウランガラスを買ったわけですが、最近骨董市を巡っていて露店の品物、そして私自身もだいぶ変わったなぁと思うようになりました。そのことについて思っていることを長文ですが書いてみることにします。

最近、骨董市でのメインが戦前のガラス製品と古絵葉書になってきていること。古いガラスも古絵葉書も昔から興味があっていくつか入手していたんですが、それがメインの対象ではありませんでした。
青磁・白磁








もともと、私の対象範囲は古陶磁器。それも、明代までの中国古陶磁器と、須恵器・土師器といった日本の考古資料としての古陶磁器がメインでした。
高校の頃から考古に興味があった私は、何百年前、時には千年以上前の焼き物に興味があり、大学入学と同時に骨董市めぐりをするようになりました。
当時、中国は民主化と再開発による大規模かつハンパでない数の工事により、かなりの数の古陶磁器があちこちで掘り出され、香港や上海経由で次々と日本へと流れてきました。本物の宋代や元代の青磁・白磁・漢代の緑釉壷ですら2〜3万・時には1万切る値段で店頭に並び、骨董市に行けばどの露店にも必ず中国モノの古陶磁器が1つは置いてあり、まさに「石を投げれば中国古陶磁器にあたる」そんな状態でした。
骨董を扱った雑誌でも、「過去に例を見ない流通量」「まさに千載一遇のチャンス」と評価し収集家としてはかなり恵まれていた(それ以前から集めていた人にとってはかなりショックな)時代でした。
上の写真はそんなときに買ったもので、奥の元代青磁酒会壷が3万。手前左の宋代白磁碗が1万5千円。手前右の元代青磁皿が8000円と言う値段で、学生の身でもバイト代などで月に1〜2個ずつなら買っていける手軽さ。当然骨董市に並べられているものにはニセモノも多かったのですが、そのニセモノ以上に本物も多かったので、場数を踏めば十分本物も手に入れられるし、見分けも付くようになるのです。私もこの時期に中国古陶磁の知識や見分け方が身につき、かなり勉強させてもらいました。
あれから10年あまり。現在、露店の骨董市を巡ってもほとんど中国古陶磁器の姿を見かけません。 元から専門に扱っていた露店すら数を減らして別のものを置いたり出店すらやめていたりしている状態で、たまに置かれていても高かったりニセモノだったりします。恐らく、中国での開発ラッシュが落ち着いたのと、中国本土でも購入する人が増えたのが原因なのかもしれません。ネットオークションでも品物は結構出てますが、それでも6〜7年前と比べて安くていいものは減った気がします。中国モノに関してはほぼ停滞してしまったのかもしれません。
須恵器






中国古陶磁器に限らず、骨董市に関しては日本の古陶磁器も数を減らしているようです。上の写真は学生のころに購入した古墳時代の須恵器や土師器ですが、10年前は中国古陶磁ほどではないですが、そこそこ見かけたし値段も手ごろなものが多かったです。最近は全く見なくなったと言うほどでもないですが、数はぐんと減り、値段もちょっと手を出しづらいものになりましたね。ネットオークションではまだちょっとがんばれば競り勝てるかなといった状態ですが。
骨董店や大きな大骨董祭は最近見てないのでなんともいえないんですが、通常の露店の骨董市の露店の品揃えに関しては、いわゆる「古美術」から「古道具」へと変化してきているように見えます。品薄と客層の好みの変化によるものが大きな原因であろうと思います。
かくゆう私も最初に書いたように収集対象が古絵葉書や戦前の和ガラスといったものに移ってきており、古陶磁器に関しては収集は停滞気味です。決して興味がなくなったわけではないんですが、欲しくても見つからない・欲しいのが見つからないんです。あと、戦前のガラス・特にウランガラスや和ガラスの魅力を再発見したことも理由の一つですね。これまで「古いガラス」というだけの認識から、現代のガラスにはないゆがみや気泡・凸凹そして柔らかな質感といった魅力に気づき、また、初めてウランガラスを知ったときの驚きと惹かれる興味により古いガラスによる価値観が変化したのです。
あと、なんといってもまだまだ手ごろな値段。最近は古いガラスに対する需要も増え、特に明治の手吹きガラスや氷コップ、ウランガラスは人気が高く、骨董市でも高値がついていますが、他のコップやビンなどは戦前モノでも1000円〜数千円で買えます。
しかし、これからはガラスモノの人気の上昇と品物の減少により値段も高くなっていくでしょうね。掘り出し物を見つけられるのも今のうちかなと思っていたりします。逆に古いガラスに関してはまだまだスキルも少なく数も持っていない状態。
いい勉強になるチャンスではと考えています。
恐らく当分は古絵葉書や戦前までの和ガラスを中心に、中国・日本の古陶磁器にも目を光らせておくといったスタイルでいくでしょうねw

おまけ。
石器






部屋を整頓していたら、こんなのが出てきました。
だいぶ前に知人等からもらったもので、右から縄文時代の打製石鏃・縄文時代の磨製石斧2点・一番左が弥生時代の蛤刃磨製石斧。こんなのが出てくる部屋ってのもどうかと思うw



besan2005 at 23:26│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック (旧版)その他 

この記事へのコメント

1. Posted by 懐畔泥鰌   2007年03月31日 01:14
注意深く探せばみつかるでしょうけど、私の住んでいる街では、それほど骨董市がありません。
私自身は非常に興味があるのですが、縄文時代や古墳時代のものも売買されていたりするのですね。
縄文時代の磨製石斧なんかが出てくる部屋!居着いちゃいそうです…おぃおぃ。
東北へ旅行に行った知人が、お土産は何か良いかと訊いてきたので、「遮光器土偶!」と答えました。
「そんなもの要求したのはお前だけだ…」と言われました。
可愛いのに…。
2. Posted by べーさん   2007年03月31日 01:32
>>懐畔泥鰌さん
日本の発掘品に関しては、ほとんどが戦前までに掘り出されたものか、もしくは高度経済成長のころに掘り出されたものでしょうね。でも、時々「去年○○川で拾った須恵器壷」とか言うのが売られていたり・・・。オイオイ・・・と言いたいですがw

部屋に遮光器土偶があったらインパクト大ですねwドラクエのミステリードール(姿がまんま遮光器土偶)みたいに夜中になったら、ふしぎな踊りを踊っていたりw

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