2007年05月31日
素性の分からぬ碗
以前紹介しました「へうげもの」を読んでいて、そういえば、私もいわゆる「へうげもの」を持ってたなと思い出し、引っ張り出してきました。それがこの碗。
いわゆる「沓茶碗」で、織部焼きが生まれた頃に作られたわざと歪ませた形をしている碗であり、織部や志野といった美濃焼きに見られる数寄物の碗です。この碗は姿こそ美濃風の沓茶碗ですが、素地の土の感じや絵付けの感じがどうも京焼っぽい。釉薬は恐らく長石釉で器肌は滑らかですが、凸凹していて、貫入(釉のみのヒビ)が細かく入ってます。見込みは茶溜まりが作られ、口縁は沓茶碗の定石通り「山みち(口縁の高さが水平でなく歪んでいる)」になっています。厚さは5mmくらいありますが、焼きがやや甘いので柔らかい感じ。そのせいか、素地まで達するニュウ(ヒビ)もあります。
高台の部分。高台の感じもまんま美濃物の沓茶碗に見られるものですね。しかし素地の土の部分は美濃っぽくない。その上、
絵付けの感じが京焼としか思えないんですが。なんか茶の席の絵のようです。この絵の横に銘が書かれているのと高台脇の土見せの部分に窯印がありますが全然分かりません。
この碗は5年位前に某オークションで売り手も「古い碗」という以外一切分からないという状態で購入したものです。よくわかんないけど何か強く魅かれるものを感じて1万ほどで購入したんです。で、手元に届いたあと、よく洗って麦茶でも飲んでみようと(この辺がショボい)試してみたんですが・・・。
「土臭せえぇぇぇ!!」
ツンとした独特の土臭。発掘品特有のあのにおいで飲むの中止。写真でも分かるとおり土染みがかなりついており、長く土中に眠っていた発掘品であることは明らか。到底使えないので、1週間くらい水に漬けて何度も水替えをしてようやくにおいが薄まりました。焼きが甘めだから素地にもしっかり染み付いたんでしょうね。
とりあえず、以上のことから「美濃の沓茶碗を意識して京焼として作られた江戸前期〜中期までの発掘品の京焼沓茶碗」と推定していますが、いくら探しても類例が見つからないので想像どまりです。でも、気になりつつ気に入ってもいるからまぁいいかな〜とも。
この記事へのコメント
人らしきものが、絵入れしてあるように思われますが気のせい?
実は味噌汁も飲んでましたwお茶やっている人が見たらぶん殴られそうですw
そうです、本文にも書いてますが、素地に人物と銘を絵付し、その上に上がけの長石釉をかけて焼いてます。色は悪いですが、呉須で絵を描いているのではないかなと。
でも、正直良くわかんないorz
乾山とかも様々な窯の製品を
「写し」として制作してて、
中にはオランダ渡りのデルフトの
製品まで真似っこしてるし、
錆絵や染付けもやってるよね。
なので、その流れの中の製品かと。
美濃焼きの製品から造形を
頂きました的なw
『乾山窯』の製品だったりして〜!
歪んだ造形が認知されて、
商品価値があった時代だと
考えれば、べーさんの案に
同意という事で。そういえば、
この時代の唐津茶碗にも
沓茶碗を意識してる
製品がありますな。
で、そのひとつは今回の記事です。
実は営業の担当エリアがまさに茶碗の窯元辺りです。
道の駅の織部・志野で休憩したりするのですが、一昨日も寄りました。
現代美濃焼ではありますが、織部、志野、黄瀬戸などの技法が受け継がれている陶器が並んでいます。
歪みというより自然体なのが好きです。
古美術品なら尚更ですね。
あ、私の目的は他にありまして…。
ここのシュークリームが物凄く美味しいんです。
ここだけの限定品なのでこれを買いに道の駅まで来る人達も多い…。
自分でひとつ食べて家族にお土産にします。
でも、更に…。
店員が可愛い(自爆)
早速のコメントありがとうございます。
『乾山窯』の製品でしたらエラいことですよw初代にないにしてもブランドですからね。
確かに写しは写しでしょうね。唐津に沓があるのはネット検索で知ってましたが、京焼系での沓はいくら探しても類例ないんです。まぁ、京焼も茶陶が多いですし、美濃系の沓を造ってもおかしくはないかなとおもいますけどね。
懐畔泥鰌さん
おお、お仕事範囲が美濃の方ですか。ならば是非「へうげもの」読んでいただきたいですね。当然のことながら美濃の土地なんかも出てきますので親近感沸きますよ。
シュークリーム、気になるw
当然店員の女の子もですがw