2018年07月16日
豊岡市・旧中江種造別邸(現・豊岡カトリック教会)レポ日記
5月の連休の際に兵庫県豊岡市の近代建築巡りをしたのですが、数多く残る近代建築の中でも特に素晴らしかったのが、現在豊岡カトリック教会となっている旧中江種造別邸でした。
中江種造は古河財閥の礎となった人物であり、古河財閥の創立者・古河市兵衛の顧問技師として足尾銅山などの経営に関わり、「鉱山王」の異名を持ちました。
この旧中江種造別邸は大正11年に生まれ故郷の豊岡市に建てたもので、昭和25年に豊岡市に譲渡。翌昭和26年に豊岡カトリック教会が購入し今に至ります。
ちなみに京都の邸宅も現存しており、寿山荘と呼ばれています。(非公開)
旧中江種造別邸の側面。
玄関部分。
玄関内部。扉が開いていたので覗いてみましたが人の気配はなし。横の呼び鈴を押すと奥から神父さんが出てきました。建物を見せて欲しいというと快くOK。増築部分の居住区域はお断りでしたが、増築部分は戦後のものでオリジナルではないので入る理由もありませんし、有難く洋館内を見学させていただきました。
玄関を入って左手にある会議室の洋間。シックな落ち着いた感じです。シャンデリアも当時の物かもしれません。
階段部分。
階段親柱の装飾。
2階階段室。
1階と2階の間の踊り場には。ステンドグラスがはめられています。
2階の洋間。天井部分がアールデコっぽいです。
2階の大広間は和室になっており、床の間・付書院・違い棚・天袋のある書院造となっています。
18畳敷きの広間で、襖を外すと隣の部屋と合わせて広い空間となり、恐らく来客たちと宴会などを行っていた部屋なのかもしれません。
広間の横は内縁となり、そこにも畳が敷かれています。
再び1階へ。かつてのサンルームらしき部屋がありました。
サンルームと思われる部屋にあるモザイクタイル。
サンルームから応接室へ。
応接室の天井。
旧中江種造別邸は戦後の礼拝堂と居住棟の増築のため壁が2ヵ所開けられている以外はオリジナルを良く保っていると思います。この日は私以外の来客は0。神父さんも洋館部分のみなら自由に見て回って良いとおっしゃり、居住棟へ戻られたので、貸し切り状態で1人静かな洋館内を堪能しまくりました。兵庫県の北端、地方都市の豊岡市にこれほどの西洋館が残されているのは貴重。帰り際に神父さんと文化財指定の予定は無いのかと尋ねたら、増築で穴を開けているから無理じゃないかと。私は洋館自体はオリジナルが良く保たれているからそんなことは無いと思いましたが。是非、文化財指定されて末永く保存されてもらいたいものです。
あと、突然の訪問にもかかわらず、親切に対応していただいた神父さんには厚くお礼を申し上げます。
私1人ということもあり、素晴らしい洋館をおよそ1時間余り十分堪能できました。