2018年11月29日
旧奈良監獄・一般公開見学レポ日記
2018年11月23日から25日にかけて開催された旧奈良監獄の最後の一般公開に行ってきました。
旧奈良監獄は明治41年に完成した明治の五大監獄の1つで、設計は司法省営繕課の山下啓次郎。
ジャズピアニスト山下洋輔氏のお爺さんに当たる方です。
私は2日目の24日10時より参加。1時間も早く着いてしまったけど、入場前には凄い列ができ、早く来て正解でした。写真は正門。ロマネスク様式の洒落た煉瓦の門は刑務所というよりテーマパークの門のようです。
正門をくぐると目の前に現れる庁舎。華やかな正門と比べて装飾は控えめの威厳のある姿。
シンメトリーで威厳溢れる戦前の官公庁の庁舎って好きなんですよね。私は。
庁舎の横にある倉庫。
庁舎の入り口部分。
庁舎1階部分。
庁舎2階の講堂。かつてはここで受刑者が映画とかを見ていたようです。
庁舎講堂の窓から収容棟を眺める。
展示されている奈良監獄で使われていた道具。
奈良監獄の典獄(監獄長)や看守長のサーベル。
庁舎を過ぎると収容棟へと至ります。ここは中央監視所。八角形の棟から放射状に収容棟が伸びています。
中央監視所は吹き抜けとなり、1階も見渡せます。
中央監視所の天井。
中央監視所から伸びる収容棟も中央廊下が吹き抜けです。
収容棟の階段横の小部屋。
収容棟の独居房。
手洗いは石製。
独居房の扉。当然ながら分厚く頑丈で外から閉められると中からは開けられない構造になっています。
収容棟1階廊下のマンホール。
続いて収容棟から地下へ。
この地下部分が見ごたえのあるものでした。
地下の階段を降りたところの部屋。
窓から外を眺める。
地下からは外の中庭へ出られました。
古色蒼然とした煉瓦の壁が聳え立つ中庭の風景はまるで、中世ヨーロッパかファンタジーの異世界の城か要塞か監獄の中に迷い込んだかのような気分に。日本のしかも古都奈良にある建物とは思えないくらい。
地下の一室。雰囲気が素晴らしすぎる。電灯じゃなくて蝋燭か松明を置いて脇に木の樽や粗末なをテーブルを置いたら、まんま中世ヨーロッパの城の中。粗雑な兵士が飲み食いしている情景が目に浮かぶよう。
この地下室の隣の小部屋の壁に文字が書かれていました。どういった意味か分かりませんが。
再び収容棟へ。小部屋の棚。
収容棟1階。
収容棟の扉。
収容棟の裏側。
収容棟の裏手には同時期に建設された木造の実習棟がいくつかあり、その中には陸軍歩兵第38連隊の兵舎を移築した建物もあったようですが、悉く解体され更地になってました。
後でフォロワーさんから頂いた内部の写真を見ると、階段の手すりはそのまま残され、、内務班の部屋も兵舎時代の雰囲気が良く残されていました。できれば最後の一般公開の時までは残しておいて公開してほしかった…
拘置監や医務所のある裏庭。紅葉が煉瓦の赤と映えてきれいでした。
拘置監の建物。拘置監は未決囚や模範囚が収容されていた棟。
拘置監と回廊を繋ぐ廊下。
拘置監と接続する医務所の中央棟。こちらも八角形で、中央監視所のミニ版といった感じです。
隔離棟。精神疾患や集団生活が厳しい受刑者を収容した建物。
この狭く暗い煉瓦の建物に閉じ込められるのはかなりキツイ・・・。さすがに人道的な面から近年は使用されていませんでした。
隔離棟の横に保存されている江戸時代の奈良奉行所時代の牢舎。
まるでキリギリスの虫篭のように見えたので通称「ギス監」と呼ばれていました。
近代監獄ができる前は囚人はこのような場所に閉じ込められていました。
旧奈良監獄はこの後、改修を経て2019年に行刑史料館・2021年にはホテルとしての開業が予定されています。改修前の最後の姿を見ることができた一般公開。実習棟や旧歩兵第38連隊の兵舎がすでに失われて見れなかったのは残念でしたが、貴重な体験をすることができました。特に地下室と中庭が素晴らしかったなぁ。
※おまけ。
旧奈良監獄から少し南に下ったところに小さな古い煉瓦の建物が残されています。
旧奈良市水道計量器室。大正11年築。
すでに屋根は崩落し、廃墟状態ですが、建物のデザインや雰囲気は中々良く、旧奈良監獄と合わせた煉瓦建築として修復・整備してもらいたいものですねぇ。