2019年11月11日
高山市の近代建築探索レポ日記
先月まで岐阜県の高山市に出張に行ってました。1ヶ月半に及ぶ長い出張で忙しさもあり大変でしたが、おかげで観光名所や市内の近代建築をくまなく探索することが出来ました。
また、出張中に隣町の飛騨市・飛騨古川町の近代建築探索も行いました。
※飛騨市・飛騨古川町の近代建築探索レポ日記 - BESANの歴史探訪
以下、私が探索した高山市の近代建築を紹介していきます。
〇かみなか旅館。花岡町。明治21年。
国登録有形文化財の元遊郭の建物。
今はちょっとお高めの旅館となっています。中が気になるなぁ。
〇柚原邸。花岡町。大正〜昭和初期。
下見板張りのシンプルな建物。1階部分の窓がオシャレ。
反対側の窓は改装されてますね。
花岡町にあった何となく気になった建物。遊郭関連だった建物?
〇村田医院。本町4丁目。昭和27年。
戦前かと思いましたが、戦後らしいです。(高山市の近代建築リストの本より)
戦後の建物ですが建物自体は良い雰囲気です。新たな用途になるのか改装中でした。
〇上野家具店。花川町。昭和初期。
軒周りの飾りが素敵な看板建築。
〇高山信用金庫川西支店。朝日町。
昭和戦前期か。何となく古そうです。
高山信用金庫の向かいにある戦前っぽい看板建築。
〇飛騨高山中華そば鍛冶橋。本町3丁目。昭和初期。
軒周りの装飾が凝ってます。今はラーメン店ですが、かつては何の建物だったんでしょうね。
〇三之町倶楽部。上一之町。昭和23年。
戦前の建物に見えましたが、資料では昭和23年らしいです。
かつては商店だったようですが、現在はイベント関連の建物になってるようです。
〇たま井や。下一之町。昭和初期の看板建築。
〇旧山桜神社火の見櫓。本町2丁目。明治14年築。昭和11年移築。
割とランドマーク的な存在の火の見櫓です。
〇天狗総本店。本町1丁目。昭和11年。
高山市の近代建築で一番有名な建物ではないでしょうか。
西から。
北から。
お肉屋さんなので「精肉」の看板があります。
屋号でもある天狗の装飾。本格的な洋風建築とバラエティーに富んだ装飾は見ていて飽きません。
国登録有形文化財です。
〇駿河屋本店(旧北陸銀行)。本町2丁目。昭和18年。
戦時中の建物ですが、ちゃんと列柱を施した古典様式となっています。
〇旧スミ時計店。本町2丁目。昭和9年。
天狗総本店の向かいにある建物。
こちらも高山市を代表する近代建築です。
〇ル・ミディ。本町2丁目。昭和初期。
現在は飛騨牛レストラン。天狗総本店の斜め向かいにあり、
天狗総本店・旧スミ時計店と並んでこの一角は近代建築が集中しています。
〇バグ・パイプ。片原町。昭和初期。
こちらも高山市を代表する近代建築の一つ。
内部は喫茶店です。レトロな良い雰囲気。
京アニ作品の「氷菓」にも登場し、ファンの聖地となっています。
階段の親柱。店主の方に聞くと建物は昭和初期とのこと。
〇旧瀬古写真館。馬場町2丁目。昭和初期。
高山市図書館「煥章館」の近くにある建物。割とシンプルな外観。現在は廃業。
〇山岸写真館。馬場町1丁目。大正7年。
飛騨護国神社の近くにある華やかな外観の写真館。
玄関の「山岸写真館」の額も当時の物かな?国登録有形文化財です。
〇旧日下部味噌醤油煉瓦蔵。上一之町。大正10年。
近代建築が豊富な高山市ですが、煉瓦建築は非常に少ないです
(もう1か所あった煉瓦建築は取り壊された)。国登録有形文化財。
〇旧高山町役場。神明町。明治28年。
堂々たる近代和風建築です。
現在は資料館となっています。なんと無料。
こちらの和室に置かれている高山市の近代建築の資料が大変参考になりました。
今回紹介している近代建築の年代はここで判明しました。
2階の講堂。大空間に広がる格天井は迫力あります。
〇堀端町の洋館付き住宅。昭和初期か。
城山に向かう途中で見つけた住宅。
〇旧押上森蔵陸軍中将邸主屋。堀端町。大正2年。
現在は移築され照蓮寺の庫裏となっていますが、かつては街中の西之一色町にあり、書斎や豪奢な洋館が付属していました。
表玄関には式台がある格式高いもの。主屋は照蓮寺に書斎は飛騨国分寺の境内に移築されました。
奥には煉瓦造の倉もありました。これも移築されたものでしょうか。
押上森蔵陸軍中将は陸軍兵器本廠を勤めた方で、退役後は火藥製造株式会社の社長を務め、また高山市の郷土史研究もされていた地元の名士。
で、こちらが飛騨国分寺境内に移築された旧押上森蔵陸軍中将邸の書斎。大正2年。
書斎と言っても一軒家です。
唯一残された洋館は取り壊しの危機に遭いましたが、地元の左官業の方の尽力で自邸に移築されたようです。詳しくはこちら
この方、なんと大河ドラマ「真田丸」の題字を書いた人だそうで、有名人だったんですね。
飛騨国分寺三重塔。江戸時代後期・文政年間の築造。
〇旧三星製糸事務所。神明町。明治21年。
明治前期の貴重な擬洋風建築。大切に使われています。
〇サロン花里。花里町。昭和初期か。
小さな洋館付き住宅です。洋館もですが横の庭園も素敵。現在はカフェっぽいですね。
〇旧須田医院。桜町。大正末期。
当時の外観が良く保たれており大切に使われています。
ただ、庭木がちょっと邪魔・・・
〇山岳資料館(旧高山測候所)。西之一色町。明治36年。
高山市街地からやや離れた「飛騨の里」内に移築された建物。
国登録有形文化財ですが、やや傷みが目立ちます。
内部は登山や山岳関係の資料館になっています。
入館料は無料。
それにしても誰もいない。管理の人すらいない・・・
旧藤井医院。上三之町。大正期か。
かつて診療所だったと思われる洋館の方に目が行きますが、
横のかつて邸宅だった美術館の方が有名ですね。
〇旧広瀬医院。上二之町。昭和22年。
小さい洋館付きの住宅。戦前かと思ったら戦後の建物でした。
〇JR上枝駅。下切町。昭和9年。
上枝と書いて「ほずえ」と読みます。難読駅名ですね。
高山本線開業時からのレトロな木造駅舎。これを撮影した時、一応撮影した感じだったので、内部までは撮影せず、後から開業時の駅舎と知ってもっと撮影しておけばとガッカリ。
飛騨古川町へ向かう途中に見つけた古い水門。国府町村山。
吐き口は石積みで、
呑み口は古いコンクリート。何の施設かは分かりませんが戦前はありそうな古さです。
大正から昭和初期?
〇高山市図書館「煥章館」。
2004年に開館した図書館ですが、外観は明治9年に完成した煥章学校(現・高山市立東小学校)を再現しています。
映画「君の名は」にも登場した図書館としても知られていますね。
高山市と言えば、和風の古い街並みが有名で、この界隈はいつも観光客でにぎわってましたが、少し足を延ばすと様々な洋風建築に出会えた素敵な街でした。
※余談
高山市到着初日にホムセで買った安いママチャリ。
1ヶ月半の間、仕事場も買い物も街中の探索も山の上の松倉城跡へも隣町の飛騨市へもこのママチャリを漕いで走り回ってました。
最後の方は後輪のブレーキが不具合を起こしはじめ悲鳴を上げてましたが、よく頑張ってくれました。
チャリは地元の一緒に仕事をした方に贈呈。
1ヶ月半過ごしたアパートの部屋。1ヶ月半とはいえずっと過ごしているとそれなりの愛着も湧くもので。何せ自宅に帰ったのは1度だけでしたからね。1ヶ月半お世話になった部屋。2度とこの部屋に住むことは無いだろうけど思い出には残りました。