2021年11月23日

舞鶴市・五老岳防空砲台西尾根遺構探索レポ日記

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舞鶴の観光スポットとして有名な五老岳。舞鶴湾を一望にできるスポットとして現在公園化され、山頂には五老岳スカイタワー等が建てられています。かつてここには海軍の五老岳防空砲台がありました。
※写真は五老岳公園から望んだ建部山。建部山の山頂には明治期の建部山堡塁砲台の遺構があります。
五老岳防空砲台は昭和16年より工事が行われ、終戦時には12.7cm連装高角砲2門、8cm高角砲4門、探照灯や指揮所・待避所・兵舎・弾薬庫・発電所・油庫・各種倉庫などがあり、五老山全体を防空砲台施設とした大規模なものでした。
この五老岳防空砲台は戦後に米軍が撮影したカラーフィルムの映像が残されています。
※米国国立公文書館 情報管理局公開資料


YouTubeにUPされた映像。

8センチ高角砲










米軍が撮影した五老岳防空砲台の12.7cm連装高角砲。
南側砲座と照射指揮所










米軍が撮影した五老岳防空砲台。北側から南側を望む。手前の建物は照射指揮所。奥にあるのが南側の砲座。現在は五老岳公園および電波の中継局となり遺構は滅失しています。

五老岳防空砲台は前述の通り公園化され、五老岳スカイタワー等の観光施設が建てられたため、ほとんどの防空砲台時代の遺構が消滅しています。
昭和22年写真








国土地理院HP公開、昭和22年撮影の五老岳防空砲台
※赤丸が探索範囲。

10.滅失地下壕










20年ほど前までは現在の第1駐車場の遊歩道階段付近に、コンクリート製の地下壕施設が残されていましたが、駐車場の整備により現在は滅失しています。
※『京都の戦争遺跡をめぐる』(つむぎ出版 1996年)より引用。
現在は五老岳防空砲台の遺構は完全に消滅している物と思われましたが、ツイッターのフォロワーさんが探索。西尾根上にいくつか遺構が残されていることが判明。今回私も探索してみることにしました。

五老岳防空砲台西尾根遺構位置図










※探索により確認した五老岳防空砲台西尾根遺構の位置図。
1.平坦地










五老岳公園第1駐車場へ入る手前のカーブ、日本郵政所有のガードフェンスのある敷地の脇に共楽公園へと至る山道があります。そこを進んでいくと西尾根の各遺構が存在します。
まずは西尾根へと向かう階段を下ると現れる平坦地。昭和22年の航空写真にも写っているため、何かしらの施設があったと思われます。コンクリート等の構造物は見当たりませんでした。
2.陶製ケーブル覆い










尾根道の脇に転がっていた陶製のケーブル覆い。
3.陶製ケーブル覆い













恐らく常滑製。土管を半分にしたような形で、地下ケーブルを覆っていたものです。
近くに発電施設があったものと思われます。同じ物を舞鶴市の空山防空砲台の探索時に確認しています。
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舞鶴市・空山防空砲台第一・第二聴測照射指揮所跡探索レポ日記

4.溝状遺構










尾根上を掘り込んだ形の溝状遺構。フォロワーさんによると、さらに西側にあった探照灯を引き出すための溝ではないかのこと。

5.機銃座










溝状遺構の北側にある窪地。

6.機銃座か










同じくもう一つの窪地。フォロワーさんによれば探照灯を防護するための機銃座ではとのこと。

7.発電機室壕










溝状遺構の先にあるコンクリート構造物。
8.発電機室壕










上から。
9.発電機室壕内部










入口は土砂が蓄積し、内部には入れませんが、開口部から撮影すると、奥までは土砂が溜まらず、
良好な状態で残されていることが分かりました。恐らく発電機室と思われます。となると、近くに冷却用の貯水槽や燃料庫が残されている可能性があります。
現在、五老岳防空砲台で唯一現存が確認されたコンクリート構造物です。

フォロワーさんの成果の後追いとなる探索ですが、完全に消滅したと思われる五老岳防空砲台の遺構がまだ現存しているという確認が出来たのは大きな成果だと思います。
※位置図に記している8cm高角砲座跡の確認を今回見落としてました。次回、貯水槽等の確認も含めて追加探索したいと思います。

besan2005 at 20:37│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 京都府 | 旧軍遺構

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