2022年11月13日

京都モダン建築祭・参加建築見学レポ日記

京都モダン建築祭001













京都市では初の試みである京都の近代建築公開イベント「京都モダン建築祭」が11/11から13日までの3日間、開催されました。クラウドファンディング出資者でもある私は、初日の11日に参加いたしました。
一番見たかった大丸ヴィラのツアーは残念ながら落選。パスポート(1500円)で見れる建物のうち、普段非公開とまだ内部を見たことが無い戦前建物に絞って回ることに。
今回巡ったのは・・・
革島医院・元成徳中学校・旧寺江家住宅・八竹庵・京都ハリストス正教会・平安女学院大学明治館・聖アグネス教会・京都市役所本館・時忘館・京都市京セラ美術館。
まずは、今回一番の目的である革島医院へ。
※今回記事で紹介する建物の内部写真は全て撮影OKの箇所のみです。見学可でも撮影NGの場所は当然載せていません。またSNS等へのUPに関しては、革島医院での事前注意事項を含め、少なくとも私の時は一切言及されていませんでしたので、撮影OK箇所=SNS等へのUP可と判断させていただきます。

2.革島医院







まず到着したのは革島医院。昭和11年築の洋館医院で、あめりか屋の設計。
普段内部を見る機会が無いため、今回どうしても見たかった建物。

1.革島医院 昭和11年 設計・あめりか屋







10時開場の30分前に到着しましたが、すでに20人ほどの待機列が。やはりここが一番の目当ての人が多かったようで。
24.革島医院











10時になった時点で先頭から15人ほどだけ整理券を配られ、残りは近くの公園へ移動。そこで、待機列をさらに作ることになったのですが、スタッフさんが不慣れなのか動かない。仕方なく私含めて待機者で列整理をする羽目に。さらに1時間ごとに見学人数の整理券を渡すと言われ、後方の人からこのまま何時間も待てというのかと不満続出。結局、10時40分にすでに並んでいた人に対しては整理券が配られましたが、段取りや対応の不手際が目立ちました。
3.革島医院







私の回は11時に入場。事前の注意事項として案内のスタッフさんから説明ありましたが、
〇撮影不可の場所では絶対撮影しないこと。
〇必ず5人1組で行動すること(少しでも外れたら怒られました)
〇荷物は事前に待合室に置くこと
〇室内のものには一切触らないこと(ドアノブや手すりもダメ)
とかなり制約が厳しかったです。確かに痛みは多く、個人宅であるから今回問題起きたら次回からは公開してくれなくなる可能性があるのでピリピリするのは分かりますが、だからと言ってちょっと外れただけで声を荒げなくてもいいのに。正直、スタッフに気を使いながら見学という感じになって落ち着かなかったですね。あと、「私らはただの案内スタッフだから、専門的質問されても答えられない」というのはどうよ?ある程度は頭に入れとくべきじゃないの?
あと、見学時の注意事項で立ち入り禁止箇所や撮影不可の箇所はかなり細かく指示され、見学中もその都度指示がありましたが、SNS等へのUPに関しては一切言及がなかったので、私としては赤字に書いた上記の判断で行かせてもらいます。
まぁ、とりあえずめったにない機会なのでワクワクしつつ内部へ。
4.革島医院







玄関部分。腰回りのタイルは布目タイルで恐らく泰山タイルかと。後に書きますが、革島医院の建設に当たり、泰山製のタイルを用いることと書いてありました。
6.革島医院







玄関上部の丸窓。
6-2.革島医院







こちらも丸窓。
7-2.革島医院







受付と投薬口。治療費・薬代即納と書いてます。ツケはダメという事ですかね。
戦前からのものでしょう。

5.革島医院







待合室。ここで荷物を置くように言われました。
8.革島医院







待合室のステンドグラス。アールデコ調。

7.革島医院







玄関ホールのタイルの構造物。手洗いだったのでしょうか。タイルは泰山タイルの可能性あり。

9.革島医院







1階の階段。
11.革島医院







階段の横に診察室と処置室。内部を見せてもらいましたが、撮影は不可。
10.革島医院







1階廊下。左の部屋が処置室。つまり手術室。
12.革島医院







階段踊り場。

13.革島医院







2階廊下。2階は病室になってます。
14.革島医院







反対側から。
15.革島医院







病室の丸窓。
16.革島医院







病室番号。
17.革島医院













病室廊下には戦前のものらしい注意書きが今でも。
18.革島医院













病室内で自炊してた人がいたのか・・・
19.革島医院







病室内1。
20.革島医院







ベッド堅そう・・・
21.革島医院







病室内2
22.革島医院







病室内3。こちらは他と違い収納があります。
23.革島医院







角部屋。窓が大きく作られ、採光が多くなるようになってます。サンルーム的な感じだったのでしょうか。
撮影不可でしたが、資料の展示室も見学。建築設計で目に付いたのは「外壁ニ鉄柵ヲ設ケテ蔦ヲ這ワス事」「外壁腰部分ハ泰山製ヲ用ル事」の記述。外壁の蔦は当初から這わせる形だったようで、タイルも泰山タイルを用いるよう決められていたようですね。
ピリピリした中の見学でしたが、貴重な体験が出来ました。

25.元成徳中学校 昭和6年







次に向かったのが元成徳中学校。
26.元成徳中学校







昭和6年築のレトロな学校建築。
27.元成徳中学校







玄関ホール。
28.元成徳中学校







受付ですかね。
28-2元成徳中学校







1階廊下。アーチが良い雰囲気。
29.元成徳中学校







1階階段。この階段が良い感じ。
30.元成徳中学校







この造形!アールデコでいいのかな。素晴らしい。
31.元成徳中学校







階段を登っていきます。
32.元成徳中学校







踊り場から。
33.元成徳中学校







踊り場のアーチ窓。
34.元成徳中学校







階段上から。
35.元成徳中学校







階段上がった所の教室の角はなんとカーブに仕上げられてました。凄く仕事が丁寧。
このカーブ、めちゃお気に入り。
36.元成徳中学校







2階廊下。
37.元成徳中学校







もう一つの階段。
38.元成徳中学校







階段の装飾。
39.元成徳中学校







3階廊下。元成徳中学校は広々としてゆったり見学できました。
素敵なレトロ校舎、新道小学校が無くなった今、ここはいつまでも残ってほしいですね。

40.旧寺江家住宅 昭和10年 設計・橋本工務店







次に向かったのが旧寺江家住宅。昭和10年築。設計・橋本工務店。
以前探索で外観だけはチェックしてたんですが、内部に入るのは初めて。
41.旧寺江家住宅







洋館部分外側。
42.旧寺江家住宅







洋館内部。
43.旧寺江家住宅







洋館内部の別アングル。オシャレですねぇ。
45.旧寺江家住宅







洋館の奥はお座敷になってます。
44.旧寺江家住宅







床の間。
46.旧寺江家住宅







京都の町家らしい坪庭。
47.旧寺江家住宅







通り庭の天井高いなぁ。
48.旧寺江家住宅







おくどさん。今も現役なのかな。素敵な町屋建築でした。

49.八竹庵







次に向かったのは八竹庵。元紫織庵で旧川崎邸。取り壊しの危機にあった建物。武田五一設計の洋館があり、昔入ったことがあるのですが、再び中に入るのは10年ぶりかも。
50.八竹庵







のはずでしたが、パスポートとは別に入場料1700円!?うち1000円は文化財としての維持管理費ということらしく分からんでもないですが、さすがに高い・・・。期間中くらいは割り引いて欲しかった。
なのでここはスルー。

100.ハリストス正教会













お次は京都ハリストス正教会。明治36年築の重要文化財。設計は京都府庁旧本館を設計した松室重光。
中では解説をされてました。撮影不可なので内部を拝見して撤収。
ちなみに京都府庁旧本館も公開されてますが、私は何度も行ってるので今回はパス。

50.平安女学院大学明治館 明治28年







次に向かったのは、平安女学院大学明治館。建物は有名でもちろん知ってましたが、場所柄、中に入るのは初めて。
51.平安女学院大学明治館







明治28年築の煉瓦建築。歴史を感じます。
52.平安女学院大学明治館







正面玄関のレリーフ。
53平安女学院大学明治館







1階階段。
54.平安女学院大学明治館







さすが明治建築と言った華やかな造りです。
55.平安女学院大学明治館







1階部屋。
59.平安女学院大学明治館







1階のシャンデリア。
56.平安女学院大学明治館







階段踊り場。
57.平安女学院大学明治館







2階講堂。
58.平安女学院大学明治館







天井の造りも凝ってます。
60.平安女学院大学明治館







講堂の暖炉。暖炉は各部屋にあります。
62.平安女学院大学明治館







3階階段。
61.平安女学院大学明治館







3階部屋。
64.平安女学院大学明治館







3階広間の暖炉。暖炉のデザインは全部同じっぽいです。
63.平安女学院大学明治館







古いオルガン。明治のころからのものでしょうか。

65.聖アグネス教会 明治31年 設計・ガーディナー







続いて隣の聖アグネス教会へ。明治31年築。設計・ガーディナー。この建物も有名で、何度も外観は見ているけど、中に入るのは初めて。一応、日曜礼拝やクリスマスには入れるみたいですが。
66.聖アグネス教会







内部空間は広々としていて開放感があり、さすが教会という感じ。
67.聖アグネス教会







祭壇も広い。
68.聖アグネス教会







ここの空間、いい感じ。
69.聖アグネス教会







70.聖アグネス教会







71.聖アグネス教会







72.聖アグネス教会













この日は天気も良く、光が差したステンドグラスがとても美しかったです。
平安女学院大学明治館や聖アグネス教会では学生さんが親切に案内してくれました。ありがとうございました。

73.京都御幸町教会 大正2年 設計・ヴォーリズ建築事務所







続いて京都では聖アグネス教会と同じく煉瓦の教会で知られる京都御幸町教会。大正5年。設計・ヴォーリズ建築事務所。ここは日曜礼拝で自由に見学でき、礼拝後は写真も自由に撮れるので、以前入ったことがあった記憶がある建物。
74.京都御幸町教会







聖アグネス教会より装飾がシンプルで、ステンドグラスも無いので派手さは無いですが、逆に落ち着いた雰囲気を感じます。
75.京都御幸町教会







祭壇。
76.京都御幸町教会







階段。
77.京都御幸町教会







階段の手摺のこのカーブの造詣がたまらなくいい!
79.京都御幸町教会







2階へ上ると堂内が見渡せます。
このあと、旧島津製作所のフォーチュンガーデンに行ったのですが、かなり並んでいて断念。

81.京都市役所 昭和6年







というわけで、京都市役所へ。京都市役所はしょっちゅう中に入っているし、改修前の市議会場の一般公開にも行きましたが、正庁の間はまだ見たこと無かったので。
82.京都市役所







まずはちらっと市議会場へ。
改修で議長席が大きく造り替えられたんですよねぇ。
P1120258










こちらは改修前の市議会議場の議長席。やはり重厚な改修前の方が良かったなぁ。
83.京都市役所







そして目当ての正庁の間へ。
84.京都市役所







さすが正庁だけあって装飾が凝ってます。
ここから地下鉄に乗り東山で降りて岡崎方面へ。

85.時忘舎(旧竹中精麦所) 大正5年







時忘舎。大正5年。元は竹中精麦所という工場だった建物。
86.時忘舎







この辺よく歩いてますが、初めて知りました。今はオシャレなカフェになっており、改めて行きたいと思ったり。
87.時忘舎







高い天井。
88.時忘舎







元々は応接室だったのかな。
89.時忘舎







名前のごとく、ここでお茶をしていたら時を忘れそう・・・
90.時忘舎







オシャレですねぇ。
91.時忘舎







奥の部屋は和室を改装したっぽい。
今回の一般公開で人気でそうですね。
本来なら取り壊しの予定だった工場がこうしてオシャレなカフェに生まれ変わっているのは素晴らしい。

92.京都市京セラ美術館 昭和8年







最後に訪れたのは京都市京セラ美術館。ここもお馴染みの場所ですが、今回の目当ては普段非公開の貴賓室。
93.京都市京セラ美術館







貴賓室だけあって流石豪華。和風を基調とした京都美術館なので、貴賓室も天井は格天井になってたりと和風のスタイルを感じます。
94.京都市京セラ美術館













この扉のブドウの彫刻が凄かった。
95.京都市京セラ美術館







暖房施設も金蒔絵っぽい和風デザイン。

以上で私の京都モダン建築祭は終了しました。
今回初の試みとはいえ、やはり革島医院とかウェストイン都ホテルとかフォーチュンガーデンとか人気ある建物には希望者が殺到し早々に打ち切りになったり、革島医院も土日の見学のやり方で2転3転して混乱を招いたのは大きな反省点だと思います。まぁ私は一通り希望の建物を見れたから良かったですが、遠方から来て見れずに終わった人とかは納得いかなかったでしょう。次回もやるなら、大いに反省して次に生かして欲しいです。私は今回パスした旧西陣織物館や武徳殿、新たに公開される建物があればそちらを中心にめぐりたいですね。あと、大丸ヴィラを次こそは見たい!


besan2005 at 11:57│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 京都府 | 近代化遺産

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