2024年01月08日
五條市の近代建築探索レポ日記

奈良県の五條市にある近代建築を探索してきました。五條市には古い町並みなどがよく残されています。まずはJR五条駅から出発。

この五条駅のホームに人造石研ぎ出しの手洗い場が残されていました。国鉄時代、まだ蒸気機関車が現役だったころ、駅に着いた蒸気機関車の機関士たちが煤で汚れた手や顔を洗うために使われていました。時には乗客も使用したこの手洗い場はかつてどこの駅のホームにもありましたが、昨今の高架化などの改築で姿を消しつつあります。
駅から1周する感じで探索していきます。

純喫茶・飛騨。五條市須恵。駅前にある喫茶店。玄関のアーチが特徴的。

五条酒造事務所棟。五條市今井町。

和洋折衷の建物。この事務所の建築年は分かりませんが、創業年の大正13年としておきます。

五条酒造の工場棟。こちらも大正13年としておきます。

五条酒造株式会社の文字がある煉瓦造の煙突も現役で使われています。

旧たばこ店。五條市五條。中々いい雰囲気の建物。レトロな看板もいいですね。

今は店舗としては使われていないようです。

K邸。五條市五條。

軒周りのデンティル装飾が特徴的ですね。

どうやら元は印刷会社の事務所だったようです。

栗山家住宅。五條市五條。近代建築ではないですが、五條市で一番有名な古民家と思われるので紹介。
建築年はなんと慶長12年(1607)。400年以上前の住宅で、年代の分かっている住宅としては日本最古だそう。

屋根の破風とかまるでお城の御殿のような立派さ。国指定重要文化財ですが、現在も個人宅なのが凄い。

フォトスタジオサクライ。五條市五條。昭和10年。

元は吉野銀行五條支店だった建物。その後、五條信用組合となり、現在は写真館として使われています。

装飾は少なめですが、元銀行らしい堂々たる外観です。

旧五新鉄道新町高架橋。五條市新町。昭和13年〜14年頃。
五新鉄道は、奈良県五條市と和歌山県新宮市を結ぶ鉄道路線として明治末期に構想が起こりました。
実際に工事が着工されたのは昭和12年。高架橋と生子トンネルの開通までは完成しましたが、戦争により工事中断。昭和35年に工事が再開するも結局工事は中止され未完成のまま終了しました。

すでに完成していた五條市の高架橋は撤去費用の面からかそのまま残され現在に至りますが、今となっては幻に終わった五新鉄道の姿を伝える貴重な近代化遺産となっています。

高架橋のアーチの下部分。木の型枠痕が残ります。

高架橋の橋脚部分。ここにも型枠痕が。戦前のコンクリート建築にはこういった型枠痕がよく残されています。

国道24号線側にも高架橋が残されています。

かつては高架橋が国道24号線を跨いでいましたが、さすがに危険性があるので、現在は国道を跨ぐ部分は撤去されています。

旧五新鉄道の説明板。

神田橋。五條市新町。昭和5年8月。

先ほどの旧五新鉄道高架橋のそばにあるRC橋。竣工当時の姿をよく留めており、欄干の尖頭アーチの装飾など戦前のRC橋らしい意匠的なものです。

竣工年の昭和五年八月の文字がある銘板。

神田橋の工事関係者の名前が刻まれた銘板。工事関係者の銘板が設置された戦前の橋は珍しいです。

旧五條代官所長屋門。幕府の天領であった五條市には代官所がありました。元々は五條市役所の位置にありましたが、天誅組の変により焼き討ちにあい焼失。元治元年(1864)に現在の地に新たに移されました。

この長屋門はその時のもので、現在は歴史民俗資料館となっています。


五條代官所の敷地の南側には石垣が残されています。

五條代官所は明治維新後は五條県庁となり、その後は裁判所の敷地となって現在に至ります。

さて、再び近代建築探索へ。割烹明月。五條市本町。

3階建ての大きな洋館が特徴的な建物です。

隣接する和館も立派です。

玄関には立派な唐破風が。元は料理旅館だったのでしょうか。

煉瓦倉庫。五條市本町。街を歩いていて見かけました。

壁は煉瓦ですが屋根の形から蔵だったのでしょうが、隣の民家とは別の敷地みたいなので、この煉瓦蔵だけ残されているっぽいです。

ちょっと入り口側に回らせてもらいました。そこには・・・

見事な木製の彫り物の装飾が。ただの蔵にこれだけの装飾を施しているくらいなので、主屋はどれだけ立派だったんでしょうか。

谷食料品店。五條市須恵。

今はもう閉店しているようです。ちょっと気になった建物。

赤壁薬局。五條市須恵。

現在は国道24号線に面した赤壁薬局の一部になっていますが、かつては荒谷薬局という店だったようで、タイル壁に店名が残されています。

下見板張りの住宅。五條市須恵。

ちょっと気になった建物でした。もとは店舗でしょうか。

五條市は近代建築だけでなく、伝建地区の歴史的な街並みなど見どころの多い町でした。
おまけ。

商店街にあった、SPY×FAMILYのアーニャが描かれた店舗w
この店舗の店主のブログによれば、アーニャが大好きで描いてもらったようです。